日本の暮らしを
支えた「藍染め」
「藍染め」とは、藍を用いた染色技法のこと。
江戸時代、庶民の服が麻から木綿に変わっていったことをきっかけに、藍の青色が日本中に広まりました。
木綿は藍によく染まり、染めれば生地が丈夫になります。日常着、手ぬぐい、きんちゃく袋、店先ののれんなど、
身のまわりのあらゆるものが藍で染められ、日本人の暮らしの中に当たり前のようにあったのです。
原料は
「蓼藍(たであい)」
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伝統的な
藍染め工程
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「ジャパン・ブルー」と呼ばれた藍染め
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藍づくりのはじまり
深谷で藍づくりがはじまったのは江戸時代の中頃。
北部を流れる利根川沿いから武蔵野台地にはたくさんの藍農家があり、このあたりでつくられた藍は“武州藍”と呼ばれました。
今も昔も藍の産地といえば阿波国(現在の徳島県吉野川流域)が有名ですが、なぜこの深谷の地で、人々は藍づくりを始めたのでしょうか。
深谷の風土や歴史を紐解いていくと、その理由が見えてきました。
利根川が
“暴れ川”
だったから
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そこに
中瀬河岸場が
あったから
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年貢を
貨幣で納めていたから
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藍をたのしむ
大河ドラマ「青天を衝け」で藍作指導をされた藍百姓の松由拓大さんに、誰にでも手軽にできる藍の楽しみ方を教えてもらいました。
藍は育ててからがおもしろい植物。少し大きめの鉢やプランターで育てれば、自宅で楽しむ十分な量が収穫できます。
自家製の藍を使って染めたり、飲んだり、食べたりと、藍を楽しみ尽くしてみませんか。
松由 拓大
栃木県矢板市で染料となる藍を育てている藍百姓。大河ドラマ「青天を衝け」では藍作指導を担当し、渋沢栄一の故郷「血洗島(現深谷市)」を再現した広大なロケ地に美しい藍畑を作り上げた。藍の魅力や楽しみかたをたくさんの人に知ってほしいと、さまざまな活動や情報発信を行なっている。
藍の育て方
自宅で藍作にトライ!
あまり細かいことは気にせずに、
おおらかな気持ちで育ててあげましょう。
用意するもの
- 鉢
- 鉢底石
- 培養土
- 藍の種(3〜5粒)
- スコップ
春
種まき・発芽(4月〜5月)
霜が降りなくなった頃に種をまきましょう。用意した鉢やプランターに根腐れを防ぐための鉢底石を敷き、その上に培養土を入れます。そこに3〜5粒の種をまき、薄く土をかけておきます。藍の種はとても小さいので、深く埋めてしまうと芽が出なくなってしまうので要注意です。
種まきから10日ほど経つと、小さくて可愛らしい芽が出てきます。
培養土に含まれる肥料で十分ですが、葉が赤くなっていたら栄養不足。油粕や鶏糞、魚粉などの有機肥料を少しまいてあげましょう。
- 水やり土が乾かないようにこまめに水をあげてください。鉢の下から水が滲み出る程度が目安です。
- 葉の虫食い肥料が多すぎると虫に葉を食べられてしまいます。1日に1度は観察してあげましょう。
夏
刈り取り(6月〜8月)
30〜50㎝に成長した藍を株元から5㎝残して刈り取ります。
刈り取った藍の葉は生葉染めの材料にしましょう。刈り取り後は再び成長します。
秋
種とり(9月〜10月)
小さな花が咲いたあと、種がついた穂先を刈り取って自然乾燥します。
乾いたら穂先の部分をこそぎ取って種だけを選別。袋に入れてお友達やご近所にもお裾分けしましょう。
※藍の品種や気候により、開花時期や種付け時期は前後します。
藍の生葉染め
緑の葉から青に染まる。
「生葉染め」がおすすめです。
伝統的な「藍染め」は木綿も麻もよく染まりますが、
「生葉染め」はシルクを染めるのが基本。
使わなくなってしまったハンカチやポケットチーフを
取り出して、藍の青色へとリメイクしてみましょう。
写真ではシルクと木綿のハンカチを染めています。
用意するもの
(ハンカチ2枚分)- 藍の生葉 70g
- 塩 小さじ1
- 水 125ml
- シルクのハンカチ
- 綿のハンカチ
- ボウル
- メジャーカップ
- ジップ袋
- ビニール手袋
Preparing
下準備
茎から葉を取ります。
葉に含まれる水分を取り出しやすくするために、小さじ1杯の塩を加えます。
Making
染色液をつくる
葉を細かくちぎります。
10〜15分揉んでいると染色液(約25ml)が抽出されます。
細かい葉が入らないように染色液をメジャーカップに移します。
そこに、水(125ml)を加えます。
Dyeing
染色する
染めるものが新品の場合は、洗濯のりを落とすために事前に洗濯をしておきましょう。
ジップ袋に染色液とハンカチ2枚を入れ、ムラなく生地に染色液が行き渡るように揉み込みます。(10〜15分程度)
Complete
仕上げ
染色液を絞ったハンカチを丁寧に水で洗います。
空気に触れ、水で洗っていると発色が促され、みるみるキレイな青色へと変化していきます。
干して乾燥したら出来上がり。同じ条件で染めたシルクと木綿のハンカチは、素材の違いできれいに濃淡がわかれました。どちらも藍の生葉ならではの美しい色合いです。
※化繊の場合、青色の発色が弱く薄い青色に染まります。
※洗濯の際は色移りにご注意ください。
※洗濯や経年で変化する色合いもお楽しみください。
飲む藍・食べる藍
染めるだけじゃない!
古くから薬草としても親しまれてきました。
藍には体温をゆるやかに下げてくれる効能があるとされ、
昔、藍農家の人たちは農作業の合間に
藍の種茶を飲んでいたとか。
自家製の藍から収穫した種で、
先人たちも飲んでいた藍の種茶を味わってみましょう。
Tea
藍の種茶
藍の種をフライパンで軽く煎ります。
煎った藍の種にお湯を注ぎ、5分程度蒸らして出来上がり。クセがなくほんのりと香ばしい味わいで、飲んだあとは口の中がさっぱりします。食後の一杯におすすめです。
Popcorn
藍のポップコーン
藍の種を中火で煎っているとポンポンと弾ける様子が楽しめます。
ケーキやクッキーのデコレーションなど、自由にアレンジを楽しんでみてください。
渋沢栄一と藍
渋沢栄一が血洗島(現深谷市)に生まれたのは1840年(天保11年)。藍づくりの全盛期でした。
渋沢家の藍商いを盛り立てた勤勉な父・市郎右衛門と、愛情あふれる母・ゑいのもとで過ごした成長の日々は、
のちに近代日本経済の父と呼ばれる栄一の原点です。
血洗島で育まれた栄一のルーツとも言える3つのエピソードをご紹介しましょう。
10歳で商いの
楽しさを知る
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世の中の理不尽さに
疑問を抱く
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抜群の
企画力を発揮する
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広げようあいのわ
NHK大河ドラマ「青天を衝け」をきっかけに、「藍」に魅せられた人たちの「輪」が広がっています。
市内学校で広がるあいのわ
大河ドラマ「青天を衝け」ロケ地でとれた藍の種を栽培。市内の小中学校や幼稚園に藍の輪が広がっています。また、葉の収穫後は藍染体験も予定しています。
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「藍」がコンセプトのカフェ
JR深谷駅北側からすぐ近くに、「藍」をコンセプトにしたカフェがオープンしました。店舗外観も藍をイメージし、藍染体験も行っています。
外観だけでなく、メニューも藍関連メニューが充実!他の店舗ではあまり見かけない藍をモチーフにした色のメニューが。
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藍染のマスクを制作
深谷洋装協同組合が手掛ける「吉田絲店」が、渋沢栄一の雅号「青淵」を冠した「青淵藍染マスク」を企画・制作。コロナ禍の必需品が人気商品に。
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藍を育て、藍染体験も
深谷市内に本社を置く建築会社「株式会社アーキテクト」がボランティアで深谷グリーンパークパティオと協力し、藍を栽培。
育てた藍を活用し、藍のたたき染め体験を行っています。バンダナやトートバッグを染めて藍を身近に。
クラウドファンディング実施中!
子どもたちと市内の福祉施設でコンサートを開催します。
渋沢栄一の家業であった武州藍・武州正藍染生地でコンサート用ドレスを制作・着用します。
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